[デザイン技法図鑑]ひと目でわかるレイアウトの基本。

レイアウトデザインの基本を押さえる

かなり見やすく、読みやすくまとめられているので、初心者でもスルスル頭に入ってきます。レイアウトの基礎的な知識はもちろん、デザインする際のヒントとなるものがたくさん詰まっています。レイアウトデザインに興味を持ち始めたばかりの人でも、見ているだけで発見や驚きがあり、とっても面白いです。

大里 浩二 (監修), MdN編集部 (編集)
出版社: エムディエヌコーポレーション (2019/10/1)、出典:出版社HP

はじめに

レイアウトとは、”デザインプランに沿って要素を配置すること”です。デザインとかプランなどと聞くと、なんだか難しそうですね?でも実は、デザインプランは日常生活の中に溢れているんです。

例えば、お弁当をつくるとしましょう。そのお弁当はいつどこで誰と食べるのでしょう?行楽や運動会のお弁当だったら、いつもより豪華なお弁当をつくろうと思いますよね。おにぎりやおかず、フルーツなどの素材を用意して、それを一番美味しく見えるように弁当箱に配置するはずです。味の濃いおかずとあっさりしたものは分けて入れるなど置き方も工夫するでしょう。

レイアウトはまさにお弁当づくりと同じなのです。目的に沿った要素を最善の状態になるように配置すること、これがレイアウトの本質です。本書では、「レイアウトにおける基本の型や考え方」から、そこに収めたり演出する要素である「文字」「写真」「図版」「配色」について初心者の方でも簡単に導入できるよう“ひと目見るだけでわかる”解説になっています。何をどのようにどこに置くのかは、本書を見るだけで理解できるでしょう。

ただし、レイアウトは法則ばかりで成り立ってはいません。お弁当をつくるときは食べる人のことを思い浮かべながら、思いやりをもって楽しくつくることで、美味しく食べてもらえますよね。レイアウトも、見る人のことを意識し、楽しんで行えばきっと良いものができるはず。本書がその一助になれば幸いです。

大里浩二

大里 浩二 (監修), MdN編集部 (編集)
出版社: エムディエヌコーポレーション (2019/10/1)、出典:出版社HP

CONTENTS

はじめに
デザインって何?
本書の使い方

CHAPTER1:レイアウト
1集中
2拡散
3分割
4散乱
5整列

6均等
7対比
8反復
9余白
10曲線

11白黒
12階調
13背景
column:絶対に役立つ印刷・DTPの基本1

CHAPTER2:文字
1太めのフォント
2細めのフォント
3和風のフォント
4丸みのあるフォント
5かたまりで組む

6かたちに沿って組む
7読みやすく組む
8文字の強調
9文字の緩急
column:絶対に役立つ印刷・DTPの基本2

CHAPTER3:写真
1写真が主役
2正方形の写真
3写真のかたち(切り抜き)
4メインとサブの関係
5被写体の視線

6クローズアップ
7ロングショット
8写真の透過
9写真とフレーム
column:絶対に役立つ印刷・DTPの基本3

CHAPTER4:図版
1イラストの役割
2イラストでマイルドに
3イラストでわかりやすく
4インフォグラフィックス
5チャートで説明

6伝わるグラフ
7表のデザイン
column:絶対に役立つ印刷・DTPの基本4

CHAPTER5:配色
1同系色・類似色
2反対色・補色
3単色
4多色
5パステル
6ビビット

大里 浩二 (監修), MdN編集部 (編集)
出版社: エムディエヌコーポレーション (2019/10/1)、出典:出版社HP

デザインって何?

・デザインとは 最適、最良を求めること。
よりよい形とは何か、よりよい伝え方とは何か。受け取る人にとって一番よい状態を生み出すことがデザインです。数学の問題のように、これこそが正解というものはないけれど、すこしでも正解に近づくために、最適、最良を求める行為なのです。

居心地の良い空間、わかりやすい誌面、使いやすい道具一。そこには良いものをつくろうとした誰かの行為があります。その行為がデザイン、それを行った人がデザイナーです。デザインは誰かのために行うもの。だから、その誰か(受け手)の気持ちに寄り添うことがデザインのスタートです。

・レイアウトの材料[文字] ことばを、たたずまいで演出。
文字にある一定のデザインをまとわせて一揃いにしたものをフォントといいます。フォントにはさまざまなものがあり、それらをどのように組み合わせるかで言葉の表情をつくることが可能です。また、フォントと文字の組み方のたたずまい次第で印象が変化します。

例えば、明朝体といっても何種類ものフォントがあります。ゴシック体や楷書体などでも同様です。なぜ同一書体なのにいくつものフォントがあるのかというと、それはイメージを表現するためにニュアンスが異なる書体が必要だからです。細いもの太いもの、小さいもの、大きいもの。伝統的なもの、近代的なものなど表現するものによって使いわけます。

・レイアウトの材料[写真] 時にリアル、時にドラマチックに。
商品や人物、風景や素材など、写真はあらゆるものを表現します。また、メインビジュアルとして使うものやサブ的なもの、バックグラウンドなど使いどころもさまざまです。あらゆる表現ができるのが写真の最大の利点です。スタジオで細かくライティングしたものも、自然の一部を切り取ったものも写真です。

写真と、イラストやCGとの違いはそこに確かに存在したもの(こと)が写真だけということです。どんなにリアルに仕上げたイラストやCGでも“存在したものではないこと”が見る人に伝わってしまうと共感は生まれません。見る人に確かさを伝えられ、大きな共感や感動を呼ぶことができるのは写真だけが持つ力と言えます。

・レイアウトの材料[図版] 正しく、すばやく伝える。
複雑なため言葉だけでは伝わりづらいことを、図で示すことがレイアウトにおける図版の役割です。物事を正しくすばやく伝えるために、どういった切り口でどのように見せるかが、図版制作の最大のポイントになります。

地図は地形に沿って忠実に表現されているものもあれば、省略してシンプルに表現されたものもあります。登山に使用するものやカーナビでは前者のようなものが必要ですし、電車の路線図などでは後者のものが必要です。レイアウトにおける図版が目的に応じて表現を使いわける必要があることがわかりますね。

・レイアウトの材料[配色] 機能させ、感情をゆさぶる。
色はレイアウトする上でカテゴリ分けや強調などにも使いますが、最も重要なことは、感情表現の材料として使うことです。色は単色でも感情表現できますが、いくつかの色を組み合わせることで複雑な感情を表現することもできます。

対象物を見るときに、人は色の情報による判断が最も優先されることが多く、配色の良し悪しでレイアウトに対する共感の度合いが大きく異なってくることも少なくありません。色味を整えること、明度や再度を整えるなど、配色にはいくつかの法則があるため、それらを学んでおくだけでも、レイアウトにおける配色力はアップします。

・何を伝える? 一番大切なことを、心をこめて。
最も伝えるべき情報は、商品なのか、サービスなのか、旅行やコンサートのような体験なのか、それともデータなどの事実なのか、小説などのフィクションなのか。伝えるものをしっかり把握して、どのように伝えるかを吟味してレイアウトすることが大切です。

何を伝えるか一見当たり前に思うことですが、カッコ良さや美しさばかりに囚われていると、一番大切な伝えるべきことが見えなくなることがあります。伝えることからブレないで、心をこめて考えれば、最適なスタイルは自然に浮かび上がります。すると、デザインするレイアウトは、必然的にカッコ良く美しいものになっていきます。

・誰に伝える? その人たちを、思いやる心で。
情報は、伝えるべき人に伝えてこそ意味があります。伝えるべきことが伝えたい人に届かなかければ、レイアウトをする意味がなくなります。伝えるべき人たちの個性や好みを知った上で、最適な伝え方を考えましょう。

伝える相手を想定することを専門的に「ターゲティング」といい、そこから浮かび上がる人々を「ターゲット」と呼びます。ターゲットに何を伝えるかで、レイアウトの表現は変わります。例えば、テーマパークの訴求をする際、落ち着いたデザインだと大人は魅力的に感じられますが、子どもには楽しいところだとは伝わりません。

大里 浩二 (監修), MdN編集部 (編集)
出版社: エムディエヌコーポレーション (2019/10/1)、出典:出版社HP

本書の使い方

本書は、“ひと目見るだけでわかる”をコンセプトに、作例や図を多く掲載しています。さまざまなレイアウトテクニックを13項目に分けて解説する章と、レイアウトの要素となる文字・写真・図版・配色について解説する章の全5章で構成しています。解説だけでなく、実際の好例も紹介しているので、プロデザイナーのテクニックも知ることができます。

CHAPTER1:レイアウト
本書では、レイアウトの際に知っておくと便利な手法について解説します。

CHAPTER2~5:文字・写真・図版・配色
本書では、要素の使い方や、要素がレイアウトに与える効果について解説します。

大里 浩二 (監修), MdN編集部 (編集)
出版社: エムディエヌコーポレーション (2019/10/1)、出典:出版社HP