LaTeX2ε辞典 増補改訂版

【最新 – LaTeXのおすすめ本リスト – 初心者からでも始められる入門から応用まで!】も確認する

LaTeXのリファレンス本

LaTeXで表現したいことを、この1冊があればほとんど実現することができます。豊富なサンプルと実行結果・テクニックが満載で、既にLaTeXをある程度使えるという方にもおすすめです。LaTeXを扱う人には手元に置いておいてほしい1冊です。

吉永 徹美 (著)
出版社: 翔泳社; 1版 (2018/8/24)、出典:出版社HP

 

はじめに(本書初版より再掲)

本書で取り上げている「LATEX」およびその背後で用いられている「TEX」は、その高度で「人手でも比較的容易に扱える数式作成能力のゆえに根強い需要を持つとともに、柔軟かつ強力なカスタマイズ機能のゆえに各種の文書作成システムのバックエンドとして着目されることもある組版システムです。特に、カスタマイズ機能に関してはLATEXでの文書作成における各種の要望に応えるための「パッケージ」(機能拡張用のプログラムなど)が多数提供されており、「各種の注釈」や「対訳」のような比較的一般的な処理から,数式をはじめとする各種の特殊な記号や表記を必要とする記述までサポートされています。必要があれば、適切な処理を実現するブログラムをユーザー自身で作成することすら可能です。

本書は「DESKTOPREFERENCE(デスクトップリファレンス)」シリーズの一環として、先に述べた特色を持った組版システム「LATEX」およびLATEXの各種のパッケージが提供するコマンドを、「逆引き」形式で、原則として1項目を見開き2ページに収めて説明しています。個々の題材は、まず「一般的な文書作成において必要となること」をひととおり取り上げ、さらに「よく見かける処理やカスタマイズ」に用いられるパッケージなどを紹介するという方針で選択しています。各項目の記述にあたっては、「実際の文書作成時に、必要なコマンドなどを調べる」状況を念頭に置いて個々のコマンドなどの書式と使用例を中心としました,また,「各コマンドの仕様に関する注意点」などの技術上の注意を必要に応じて追加しています。ただし、各見開きで扱っている課題の解決法とそれに直接関係することを優先して述べているため、「どのような設定が望ましい(あるいは美しい)か」といった点や「組版上のルール・慣例」についての説明(いわば、「教科書的な説明」)は省略しています。

最後に、本書の執筆期間中、筆者をサポートしてくださった方々に感謝いたします。特に、本書の執筆の機会をくださった上原陽一様、遅筆な筆者に永らくお付き合いくださった清水様、島伸行様に心よりの感謝を申し上げます。
本書が読者の皆様の文書作成のお役に立てば幸いです。

平成21年新春 吉永徹美

改訂にあたって

旧版の刊行以来。本書は「実用的な1ド「EXコマンドのハンドブック」のうち容易に入手可能なものとして、(筆者の著書にもかかわらず)比較的ご好評をいただき、心より感謝しております。ただ、刊行時点で内容が固定されてしまう書籍の常として、刊行から時が経つにつれ中身が古くなったり、新しいパッケージなどが登場したりするといった「現在一般的な状況との離」が見られるようになりました。そこでこのたび本書の改訂の運びとなりました。

改訂にあたっては「古すぎる」内容の見直し、近年利用が拡大しつつある有用なパッケージに関する記述の追加、プレゼンテーション関連の記述の追加といった変更を行いました。もっとも、パッケージの取捨選択に関して「新しいものでありさえすればよい」という基準は採用せず、「業務上の文書作成あるいは出版関連の業務であったとしても無難に利用できるかどうか」という面にも配慮しました(実はこの点に関しては旧版でも同様でした)。

最後に、本書の改訂の機会をくださり遅筆な筆者にお付き合いくださった山本智史様および本書の改訂内容に関する有用な示唆をいただいた旧友の本田知永様に心よりの感謝を申し上げます。

本書が旧版と同じく読者の皆様の文書作成のお役に立てば幸いです。

平成30年初夏吉永徹美

吉永 徹美 (著)
出版社: 翔泳社; 1版 (2018/8/24)、出典:出版社HP

本書を読み進める前に

本書で説明する各種のコマンド・環境・パッケージを利用して文書を作成するには、IEX本体(latexコマンド)およびINTEN本体(platexコマンド)が利用可能である必要があります。また、

・dvips(環境によっては、dvipsk.pdvipsといった名称であることもあります)、dvipdfmx(avipdfm)などの、dwiファイルを別の形式のファイルに変換するソフトウェア
・biblex(文献リスト整形ソフトウェア),mendex(引整形ソフトウェア)などのITX

文書作成支援ソフトウェア
といったTEX関連ソフトウェアも必要に応じて用います。これらのソフトウェアが利用可能でない場合には、TEXLiveインストーラ:CTAN/systems/texlive/tinet/instal1-t1.zip(「CTAN」はhttp://ftp.jaist.ac.jp/pub/CTAN/などの適切なダウンロードサイト)を展開して得られるinstall-11というスクリプト(Windows環境の場合にはinstall-tl-windows.batもしくはinstall-tl-windows.exe)を利用するのがよいでしょう。これと概ね同等(+a)の処理を行うインストーラが付属した書籍)もあるようです。インストールの詳細については、T-XWiki(https://texwiki.texjp.org/)の「TeX入手法」の項などを参照するとよいでしょう。

■LATEXとpLATEX,UpLATEXについて

オリジナルのIBTEXは(一部のUnicode化された処理系を用いる場合を除き)欧文専用で、日本ではオリジナルのITEXを日本語文書に対応させたPISTEX,upLATEXが広く用いられています。もっとも、ユーザーの目に直接触れるコマンドの書式・用法の面ではオリジナルのTEXとpLaTeX,upLaTexとの間にはほとんど差はありません。そこで、本書では日本語文書であるか否かが問題にならない箇所では、「LETEXまたはDLATEX,upLaTEX」という代わりに単に「LATEX」ということがあります。同様に、Unicode対応であるか否かが問題にならない所では「pLaTEXまたはUpLaTex」という代わりに単に「pTEX」ということがあります。

■いくつかの文字についての注意

●円記号とバックスラッシュ
テキストファイル中の個々の文字や各種のフォントに収められた個々の文字は、結局のところ、何らかの数値として取り扱われています。ここで、JISでは円記号「¥」に対応している数値92には、US-ASCIIではバックスラッシュ「」が対応しています。この事情により、同じ数値92に対応する文字が環境によって「¥」と表示されたり「八」と表示されたりしますが、TEX関連書籍を読む場合やEX文書を作成する場合には、どちらで表示されているかを気にする必要はありません(本書では原則として「/」と表記します)。ただ、LTEX文書をUnicodeテキストとして作成する場合には、TEXのコマンドに現れる「¥」あるいは「/」にはバックスラッシュ(U+005C)を用いて、円記号(U+0045)にはしないように注意してください。また、和文文字(いわゆる「全角」)の円記号「¥」は「ハ」「¥」のどちらともまったく異なる文字ですので、TEX文書中の各種のコマンドを記述する際には和文文字の円記号「¥」を用いないように注意してください。

●空白文字について
本書で「空白文字」というときには、いわゆる「半角」スペース(US-ASCIIでは文字コード32の文字)のことのみを指します。和文文字の空白(いわゆる全角空白)あるいはタブ文字は「空白文字」には含めていないという点に注意してください。本書では、和文文字の空白に言及する際には必ず「和文文字の空白」,「全角空白」といった和文文字であることを明らかにした記述を用います。また、空白文字を明示する場合には「山」という記号を用います。

■本書で用いる表記上の規約

●等幅フォント(タイプライタ体)の部分
LATEX文書の記述例や実行するコマンド,あるいはコマンドを実行した結果のメッセージなどを表します。ただし、そのような部分に含まれる和文文字列は丸ゴシック体にしています。
[例]「/Tex」(「TEX」というロゴを出力するコマンド)

●(something)のような、三角括で挟んだ文字列
コマンドの書式の記述に現れる可変部分などの「変数名」のように用いる箇所を表します。[M]「platex(filename)」((filename)という名称のファイルをplatexコマンドでタイプセットする場合の実行コマンドの記述)

●/thecntname)のように文字」に続く文字列に下線を付けたもの
その下線部がひとつのTEXのコマンドであることを強調する場合の表記です。
[例](cntname)が文字列「enumi」のときには、「/thecntname)」はコマンド「/theenun1」のことを表します。

■本書での使用例・出力例の記述について

使用例・出力例の記述では、「常に現れる共通部分」などは適宜省略しています。例えば、第2章以降の使用例では「/documentclass」コマンドなどをいちいち書いているとは限りません、使用例・出力例をユーザー自身で使用・確認する際には、TEX文書として成立するだけの記述を適宜補ってください。例えば、「TexというコマンドはTXという出力を与える。」という記述があったとしたら、「/documentclassなどを補った
/documentclass{article}
/begin{document)
/TeX
/end{document)
のような文書を処理したときに「/TeX』に対応する箇所は「TEX』と出力される」という具合に理解してください。

■本書で頻繁に用いられるLATEX用語

•環境:「/begint(envname)」と「/end{(envname)}」((envname)は文字列)の間の
部分です。環境名を明示するときには「/begin{(envname)}」「/end{(envname)}」の「(envname)」をとって「(envname)環境」といいます。
・コマンド:LEX文書での何らかの機能を表す文字列で、主なものは次の2種です。-コントロール・ワード:文字「/」とその後に続くアルファベットや漢字・ひらがな・カタカナからなるなるべく長い文字列です([例]/TeX),ただし,/makeatletterが有効になっているところでは、文字「@」もアルファベットと同様にコントロール・ワードに含めることができます(11ページ「コマンド・環境の定義・再定義の基本」参照)-コントロール・シンボル:文字「/」とその直後の記号類1文字です([例]/).
・パッケージ:LEXに対する各種の拡張機能を提供する一連のファイルです。拡張機能の主要な部分は「.sty」という拡張子を持ったファイルに記述され、/usepackageコマンドなどで読み込まれます。
・引数:TEXのコマンドの後に置かれる文字・コマンドの列で、そのコマンドに対するパラメータなどになるものです。一般的なものは次の2種です。-通常の引数:「/textbf{a}」(=「a」)の「a」のような、括弧「」、「」で囲まれた引数(ただし,引数が単一の文字・コマンドからなる場合には、引数を囲む括私「」「}」は省略できます),-オプション引数:「/sqrt[3]{a}」(=「Va」)の「3」のような、「く」,「」以
外の括弧類(この例では「C」と「])で囲まれた省略可能な引数です。
・プリアンブル:文書の/documentclassコマンドから「/begin{document}」ま
での部分です。文書全体に適用する共通設定やパッケージの読み込みなどを記述します。
•グループ:環境の内部や括弧「(」、「」で挟んだ範囲の内部での書体変更などはその範囲の外部に及びません。そのような、内部での書体変更などがその範囲に限定されるようなところを「グループ」といいます。

■TEX文書の取り扱いの基本

LTEX文書の作成から最終的な閲覧・印刷までの作業の流れは概ね次のようになります。

・ソースファイル(EX文書)を作成
・ソースファイルのタイプセット(LTEXPINTEX(upLTEX)の処理系での組版処理)を実行し、dviファイルを作成(タイプセットしたファイルの名称が(filename).texの場
合、組版結果はファイル(filename).dviに収められます)
・dviファイルを各種のdviware(aviファイルの加工・閲覧などの処理を行うソフトウェア)を用いた、閲覧・加工・印刷などの実行

ここで、dviファイルというのは、『X文書をJTEXあるいはPLAT-XupleTEX)で処理して得られる組版結果を収めたファイルです(ただし、pdlTeXのようにdviファイルを経由しない処理系もあります)。さらに、LEX文書のタイプセットの際には、次の2種のファイルも作られます。

・auxファイル:相互参照(第11章参照)や目次(第12章参照)で用いられる情報が
記録されたファイル(ファイル名の拡張子は「.aux」)
・logファイル:タイプセット時の各種のメッセージが記録されたファイル(ファイル名の拡張子は「.log」)

また、LTEXはさまざまな情報をauxファイル経由でやりとりします。そのため、何らかの理由でauxファイルを作成しなおす場合(例えば、何らかのパッケージの使用を取り止めたことに伴い、auxファイルの読み込み時にエラーが生じるようになった場合)を除き、原則としてauxファイルは削除しないように注意してください。
なお,”TEX文書中で行う処理によっては、さらに別のファイルも作成されることがあります(例えば、目次を出力する場合には拡張子が「.toc」のファイルも生成されます)、そういった各種の外部ファイルについては、必要に応じて説明します。

■「統合環境」について

以前から、各種のテキストエディタには1STEX文書の編集支援機能が用意されていて、タイプセットなどの作業を簡単なキー操作で実行できるようになっています。また、近年、TeXWorksやTexShopなどの統合環境ソフトウェアが現れ、それらのソフトウェアからも各種のボタンなどを通じて、タイプセットなどの作業を行えるようになっています。そういった編集支援機能や統合環境ソフトウェアについては、読者の好みに応じて適宜利用するとよいでしょう。ただし、各種テキストエディタあるいは統合環境ソフトウェア自身はTEX本体でも各種dviwareでもなく、単にそれらを呼び出しているだけ、という点には注意が必要です。

また、本書ではタイプセット作業や各種dviwareを用いた処理に言及する際には特定のテキストエディタや統合環境ソフトウェアを念頭に置くことはせず、コマンドライン操作を行う場合について説明します。統合環境ソフトウェアなどをお使いの場合には、個々のソフトウェアを(必要があれば呼び出す際のオプション指定を適宜変更したうえで)呼び出してください。

■LETEXのパッケージの使い方の基本

AT-X文書で何らかのパッケージを用いるときには、その”TEX文書のプリアンブルで、用いたいパッケージをAusepackageコマンドを用いて読み込みます。例えば、amsmathパッケージ(数式関係の機能を拡張するパッケージです(第15章参照))を用いる場合には、ブリアンブルに
/usepackage{amsmath}
という記述を入れます。
また、パッケージには何らかのオプションを指定できることがあります。今の例のamsmathパッケージに「legno」オプション(数式番号を左側に出力するオプション)と「fleqn」オブション(ディスプレイ数式を左寄せにして出力するオプション)を指定する場合には、指定するオプションを/usepackageコマンドのオプション引数にして次のように記述します(複数のオプションを指定する場合にはオプションをコンマ区切りで列挙します)。
/usepackage[leqno,fleqn]{amsnath}
さらに、『EX文書のプリアンブルでは/usepackageコマンドは何回でも使えます。したがって、複数のパッケージを用いる場合には、用いるパッケージのそれぞれを/usepackageコマンドで読み込めばよいわけです。なお、オプション指定が共通なパッケージは
/usepackage{amsmath,amssymb}
という具合に、ひとつの/uaepackageコマンドでまとめて読み込めます。この例では、amsmathパッケージとamssymbパッケージ(各種の数式用記号を提供するパッケージです)を、ともにオプション指定なしの状態で読み込んでいます。

■パッケージの入手法

一般的なパッケージはCTAN(Comprehensive TeX Archive Network)に収録されていることが多いので、読者自身でパッケージを入手・インストールする必要がある場合には、まずCTANを探すとよいでしょう。また、「和文処理専用」のパッケージであるといった理由でCTANにあるとは期待できない場合には、ウェブを当該パッケージ名で検索すると配布元がわかることがあります。
パッケージのインストールに関しては、多くの場合、パッケージのマニュアルなどにインストール法の説明があるのでそれに従ってください。特にインストール法の説明がないときは、パッケージ本体(拡張子が「.sty」のファイル)を適切なディレクトリにコピーすれば済む場合が大半です(よくわからなければ、そのパッケージを利用するL&TEX文書が置かれているディレクトリにコピーしても構いません).
パッケージによってはパッケージ本体(拡張子が「.sty」のファイル)が用意されているわけではなく、拡張子が「.ins」のファイルと拡張子が「.dtx」のファイルを用いて生成させるようになっていることがあります。その場合には、拡張子が「.ins」のファイルをLEXまたはpTeXで処理してください(この操作で、パッケージ本体などの各種のファイルが生成されます)。例えば、ファイル(パッケージ名).insが用意されている場合には次のようになります。
latex《パッケージ名).ins
あるいは
platexパッケージ名).ins
また、拡張子が「.dtx」のファイルはマニュアル文書にもなっています。例えば、ファイル(パッケージ名).dtxが用意されている場合,
platex(パッケージ名).dtx
という具合にタイプセットしたときのdiファイル(あるいはそれを加工したもの)を閲覧すると、マニュアルを読めます。あるパッケージのマニュアル文書をこのようにして読む場合には、ファイルパッケージ名).dtx自身がそのパッケージを用いていることがあるので、先にファイル(パッケージ名).insを処理してパッケージ本体を生成しておくとよいでしょう。

■コマンド・環境の定義・再定義の基本

本書では、文書の体裁の変更などに伴ってユーザー自身で再定義することになるコマンドも取り上げられています。ここでは、そのようなコマンドの再定義といった操作の際に用いる,マクロ作成(%3D1TXでのプログラミング)の基本事項を挙げます。なお、文字「O」は通常はコマンド名には使えないので、LTEX文書のプリアンブルなどで文字「e」を含むようなコマンドが現れるような定義・再定義を行う場合には、その定義・再定義の部分の前に/makeatletterを置く必要があり、定義・再定義が済んだら/makeatotherを用いて/makeatletterの効果を取り消すことになるという点に注意してください。

●コマンドの定義・定義
何らかのコマンド/somecaを新規に定義する場合、/newcommandというコマンドを次の形式で用います。
/newcommand/aomecs[(引数の個数)](定義内容)
/newcommand/somecs[(引数の個数)][(デフォルトのオプション)](定義内容))
•/gomecsとその引数の全体が(定義内容)に置き換えられます。
[例]「/newcommand/macroAEA}」の場合、「/macroA」は文字列「A」に置き換えられます。
・(引数の個数)は/somecsの引数の個数を表すゼロ以上の整数です./somecsの引数を(定義内容)の中で用いるときには、第れ引数があてはまる箇所に「#n」を用います。なお,「[(引数の個数)]」の部分は省略可能で、省略した場合には引数の個数)=0として扱われます。[例]「/newcommand/macroA[1]{(#1)}」の場合,「/macroAEX}」は文字列「(X)」に置き換えられます。
・(デフォルトのオプション)を与えた場合,Naonecsの最初の引数はオプション引数になり、そのオプション引数のデフォルト値が(デフォルトのオプション)になります。この場合(引数の個数)21でなければなりません。[例]「/newcommand/macroA[2][章](#2#1}」の場合,「/macroA[節]{1}」は「1節」に置き換えられる一方、「/macroA{2}」は「/macroA[章]{2}」として扱われて「2章」に置き換えられます。
定義済みの何らかのコマンド/somecsを再定義する場合には,/newcommandの代わりに/renewcommandというコマンドを次の形式で用います((引数の個数)などの意味は/newcommandの場合と同じです).

/renewcommandsomeca[引数の個数)][(定義内容)}
/renewcommandsomecs[引数の個数)][(デフォルトのオプション)]{定義内容)}
また,/neucommandの代わりに/DeclareRobustCommandというコマンドが用いられることもあります。/DeclareRobustCommandはコマンドの新規定義・再定義のどちらにも用いることができて,/DeclareRobustCommandで定義されたコマンドは自動的に「robustなコマンド」(2.1節参照)になります。
●環境の定義・再定義
LTEXの環境を新規定義するには/nevenvironmentというコマンドを次の形式で用います。
/nevenvironment{環境名)][〈環境の開始処理)(環境の終了処理)}
例えば、
/newenvironment{envA}{/par/bfseries}{/par}
のようにenvA環境を定義した場合,「/begin{envA」のところでは「/par/bfseries」(=段落を改めた後、太字表記に変更)という処理を行い「/end{enva」のところでは「/par」(=段落を改める)という処理を行います。
また、/newenvironmentにオプション引数を付けた
/nevenvironment(環境名)[(引数の個数)]
{(環境の開始処理)}{(環境の終了処理)}
/nevenvironment{環境名)][(引数の個数)][(デフォルトのオプション)]
(環境の開始処理)}{(環境の終了処理)}
という形式で新しい環境を定義した場合,「/begin{(環境名)]」のところが引数の個数)個の引数をとるようになります。また、「(デフォルトのオプション)」を与えた場合には、「/begin(環境名))」の後の引数のうちの最初のものがオプション引数となり、そのオプション引数のデフォルト値が(デフォルトのオプション)になります(/newcommandの場合と同様です)。例えば、
/newenvironnentenva}[1]{/par#1}{/par)
のようにenwA環境を定義した場合,「/begin{envA}{/bfseries}」=「/par/btserien」で、「/begin{envA}{}」=「/par」となるという具合に扱われます。
何らかの定義済みの環境を再定義する場合には,/nevenvironmentコマンドの代わりに/renevenvironmentというコマンドを次の形式で用います。
/renevenvironment{環境名)][(引数の個数)]
{〈環境の開始処理)]環境の終了処理)}
/renevenvironment{(環境名)][(引数の個数)][(デフォルトのオプション)]
{(環境の開始理)(環境の終了処理)}
ここで、「引数の個数)」などの意味は/nevenvironmentの場合と同様です。

●STEXの「カウンタ」の値の設定
LTEXでは見出し類の番号付けなどに伴い、各種の「カウンタ」が用いられています。LTEXのカウンタの値を変更するには,/setcounterというコマンドを次の形式で用います。
/setcounterd(カウンタ名)}{(代入する値)}
例えば,「/setcounter{page}{10}」と記述すると,「page」というカウンタ(ページ番号を表します)の値を10に設定できます。
また、カウンタの現在の値に別の値を加算するには/addtocounterというコマンドを次の形式で用います。
/addtocounter{<カウンタ名)}{〈加算する値}}
例えば、「/addtocounterfenuni}{/valuefenunit}}」という記述では、カウンタenumiにカウンタenumiの値が加算されます(カウンタ名はあくまでカウンタの「名称」なので、代入などの際にカウンタの値そのものを使うときには「Avalue(<カウンタ名)」とします)。
また、「カウンタの値に1を加算する」という頻繁に用いられる操作のために,/stepcounter,/refstepcounterというコマンドが用意されています。それらは単に
/stepcounter{<カウンタ名)}
/refstepcounter(カウンタ名)}
という形式で用います(/refstepcounterは、/stepcounterの処理に加え「相互参照」に関する情報の更新も行います)

●寸法の代入
ビーズで用いられる各種の寸法に値を代入するには、/setlengthというコマンドを次の形式で用います。
/setlength(代入先){(代入する寸法)
例えば、「/setlengthe/parindent}{0mm}」のように記述すると、Aparindentという寸法(段落の先頭での字下げ量)が0mmになります。なお、TeXで寸法の指定の際に使える
位には、「mm」「cm」といった一般的な単位のほかに「pt」(72.27pt%3D1インチ)、「bp」(72bp=31インチ)、「Q」(TeX,upTeX専用,10=0.25mm),「H」(EX,EX専用、1H=10),「em」(現在用いられている欧文フォントに応じて決まる寸法、文字「M」の幅が目安)「ex」(現在用いられている欧文フォントに応じて決まる寸法、文字「x」の高さが目安)、「zw」(現在用いられている和文フォントに応じて決まる寸法、漢字類の幅が目安)といったものがあります。
また、ある寸法に別の寸法を加算するには、Laddtolengthというコマンドを次の形式で用います。
Madatolength(代入先)(加算する寸法)}
例えば、「/addtolength{/textwidth}{10zw}」と記述すると,/textwidthという寸法(行長です。1.5節参照)を10zw増やせます。
ここでは、『EXでのマクロ作成に関して、本書の説明を理解するのに必要となる範囲のことのみを説明しました。さらに詳しいことについては、IBTEXそのものに関する教科書的な解説書(例えば、「LATEX2美文書作成入門」[1],『独習JETEX2-1[4])あるいはマクロ作成そのものをテーマとした解説書(例えば、「ETEXマクロの八重』(19)を参照するとよいでしょう。

吉永 徹美 (著)
出版社: 翔泳社; 1版 (2018/8/24)、出典:出版社HP

Contents

はじめに
本書を読み進める前に
1 LETEX文書の大枠の設定
1.1文書を書き始めたい
1.2文書の種類を指定したい
1.3用紙サイズを指定したい
1.4文字サイズ・行送りの基準値を指定したい
1.5行や1ページあたりの行数を指定したい
1.6上下左右の余白を設定したい
1.7 2段組にしたい.
1.8多段組にしたい
1.9多段組時に最終ページなどでの段の高さを揃えたい
1.10前付け・奥付あるいは付録部分を作成したい.
1.11文書の表題・概要を記述したい.
1.12表題部分の体裁を変更したい.
1.13ソースファイルを複数に分割したい
1.14トンボを付けたい

2見出しと柱の設定
2.1見出しを記述したい.
2.2見出しの番号を変更したい
2.3見出しの番号付けの有無を変更したい
2.4見出しの直後での字下げの有無を変更したい
2.5見出しの体裁を変更したい(1)ApartIchapterの場合
2.6見出しの体裁を変更したい(2)\section以下の場合
2.7ヘッダ・フッタの形式を変更したい
2.8ヘッダ・フッタにユーザー独自の形式を用いたい(1)ユーザー自身でカスタマイズする場合
2.9ヘッダ・フッタにユーザー独自の形式を用いたい(2)fancyhdrパッケージ
を用いる場合
2.10ヘッダ・フッタに載せる項目を調整したい
2.11ページの背景に文字列を入れたい.
2.12ページの背景に画像を入れたい
2.13ツメを付けたい

3本文の記述
3.1段落を改めたい・強制改行したい
3.2ページしたい
3.3行分割・ページ分割を抑制・促進したい
3.4空白を入れたい.
3.5 TEXの特殊文字を記述したい
3.6アクセント記号を記述したい
3.7コメントを入れたい.
3.8文字サイズを変更したい
3.9書体を変更したい(1)属性レベルでの変更
3.10書体を変更したい(2)欧文フォントのフォントレベルでの変更.
3.11書体を変更したい(3)和文フォントの追加
3.12書体変更コマンドに対応する書体を変更したい
3.13文字列などの色を変更したい.
3.14掛け白抜きを行いたい
3.15高度な色指定を行いたい

4文字列レベルの特殊処理・特殊文字
4.1短い文字列を書いたとおりに出力したい
4.2丸や四角などの枠で囲んだ文字を出力したい(1)一枠と中身を合成する場合
4.3丸や四角などの枠で囲んだ文字を出力したい(2)―既存のフォントを利用する
4.4「環境依存文字」や多様な異体字を使いたい
4.5文字などの上げ下げを行いたい
4.6文字・記号の積み重ねや重ね書きを行いたい
4.7下線・傍線などを引きたい
4.8点圏点を付けたい
4.9文字列に長体や平体をかけたい・文字列などを回転させたい
4.10均等割りを行いたい
4.11ルビを振りたい
4.12中横の文字列を記述したい
4.13注を出力したい
4.14事やリーダーを入れたい

5段落レベルの体の変更
5.1右寄せ・左寄せ・中央寄せをしたい
5.2引用図の記述を行いたい
5.3段落の左右の余白を変更したい.
5.4行送り・段落の先頭の字下げ量・段落間の空白量を変更したい.
5.5幅を指定した複数行のテキストを作成したい
5.6横(縦)祖文書に報(横)組の段落を入れたい
5.7 2種類のテキストの併置(対訳など)を行いたい
5.8飾り枠を作りたい(1)-1ページに収まる場合
5.9飾り枠を作りたい(2)-複数ページにわたる場合
5.10飾り枠を作りたい(3)-tcolorboxパッケージ
5.11飾り枠を作りたい(4)-tcolorboxパッケージの使用例
5.12複数行のテキストを書いたとおりに出力したい
5.13プリティ・プリントを行いたい(1)tabbing環境
5.14プリティプリントを行いたい(2)-listingsパッケージの基本
5.15プリティ・プリントを行いたい(3)-listingsパッケージの応用
5.16行番号を付加したい

6箇条書き・定理型の環境
6.1番号のない箇条書きを行いたい
6.2番号なし箇条書きの見出し記号を変更したい。
6.3番号付き箇条書きを行いたい
6.4番号付き箇条書きの番号の形式を変更したい(1)ユーザー自身でカスタマイズする場合
6.5番号付き箇条書きの番号の形式を変更したい(2)-enumerateパッケージを使用する場合
6.6「見出し項目とその説明」のような箇条書きを行いたい
6.7箇条書きの体裁を変更したい(1)-list環境のバラメータ
6.8箇条書きの体裁を変更したい(2)カスタマイズ例
6.9項目を横に並べた箇条書きをしたい
6.10「定理」・「定義」などを記述する環境を作りたい
6.11「証明」を記述したい
6.12定理型の環境の番号の形式を変更したい
6.13定理型の環境の体裁を変更したい(1)ユーザー自身でカスタマイズする場合
6.14定理型の環境の体裁を変更したい(2)-theoremパッケージを用いる場合
6.15定理型の環境の体裁を変更したい(3)amsthmパッケージを用いる場合

7各種の注釈
7.1脚注を記述したい
7.2脚注記号の体裁を変更したい
7.3脚注テキストの体裁を変更したい
7.4脚注と本文部分との区切り部分を変更したい
7.5脚注番号をページごとにリセットしたい
7.6 2段組文書での脚注を右段に集めたい.
7.7 2段組(多段組)文書に1段組の脚注を入れたい
7.8 1段組の文書で脚注のみ2段組(多段)にしたい
7.9特注を記述したい
7.10修注の体裁を変更したい
7.11伊注を「逆サイド」の余白に出力したい
7.12後注を記述したい
7.13表に注釈を付けたい

8表の作成
8.1表を作成したい
8.2表の特定のセルの書式を変更したい
8.3表での列間隔・行送りを変更したい
8.4線の一部を消したい.
8.5太い線を用いたい
8.6破線の罫線を用いたい
8.72重野線をきれいに出力したい
8.8セルを結合したい(1)EX自身の機能を用いる方法.
8.9セルを結合したい(2)-multirowパッケージ
8.10セルに斜線を入れたい
8.11縦書きのセルを作りたい・表全体の組方向を指定したい
8.12各セルの要素を小数点などの位置を揃えて記述したい
8.13表全体の幅を指定したい
8.14表のセルに色を付けたい
8.15表の線に色を付けたい
8.16複数ページにわたる表を作成したい(1)longtableパッケージ
8.17複数ページにわたる表を作成したい(2)supertabularパッケージ
8.18幅が広い表を回転させて配置したい

9像の取り扱い
9.1LATEX文書で利用できる画像を用意したい
9.2画像を貼り付けたい
9.3画像の大きさを指定したい
9.4画像を回転させて貼り付けたい
9.5画像の一部のみを表示させたい
9.6画像に文字を書き込みたい(1)TEX自身の機能を用いる方法
9.7画像に文字を書き込みたい(2)-PSfragパッケージ

10回表の配置とキャプション
10.1図表にキャプションを付けたものを配置したい
10.2図表を「その場」に配置したい
10.3 2段組(多段組)文書においてページの図表を配置したい
10.4 2段組の文書においてページの図表をページの下部に配置したい
10.5現在のページの上部に図表が入らないようにしたい
10.6図表を文書末にまとめて配置したい
10.7複数の小さな図表を並べて配置したい
10.8図と表を並べて配置したい
10.9複数のページにわたる図表に同じ番号のキャプションを付けたい
10.10図表の周囲にテキストを回り込ませたい(1)TEX自身の機能を用いる場合
10.11図表の周囲にテキストを回り込ませたい(2)-wrapfigパッケージを用いる
10.12図表の周囲にテキストを回り込ませたい(3)picinsパッケージを用いる場
10.13図表の番号を変更したい
10.14図表の本体で用いる書体・文字サイズを一括変更したい
10.15図表の本体とキャプションとの間隔を変更したい
10.16キャプションの体裁を変更したい(1)ユーザー自身でカスタマイズする場
10.17キャプションの体裁を変更したい(2)captionパッケージを用いる場合
10.18キャプションの体裁を変更したい(3)plextパッケージを用いる場合
10.19フロートを新設したい(1)ユーザー自身でカスタマイズする場合
10.20フロートを新設したい(2)–floatパッケージを用いる場合
10.21ひとつのページに多数の図表が入るようにしたい
10.22図表どうしの間隔・図表と本文との間隔を変更したい
10.23図表のみのページでの図表の配置を変更したい

11相互参照
11.1相互参照をしたい
11.2相互参照用のラベルを表示したい
11.3別の文書中のラベルを参照したい
11.4ページ番号の参照時に適宜「前ページ」のような形で参照したい
11.5「図1」や「第1章」などの形式での参照を自動的に行いたい
11.6最終ページのページ番号を取得したい

12目次
12.1目次(図目次・表目次)を作成したい
12.2目次に載せる項目の水準を変更したい
12.3目次項目を追加・削除したい
12.4目次の見出し部の体裁を変更したい
12.5目次項目の体裁を変更したい(1)Ichapterなどに対応する項目の場合
12.6目次項目の体裁を変更したい(2)-Iodottedtoclineのパラメータ調整
12.7目次項目の体裁を変更したい(3)-\@dottedtoclineの再定義
12.8「図目次」の類を新設したい
12.9複数箇所に目次を作成したい

13参考文献リスト
13.1参考文献リストを作りたい
13.2参考文献リストの文献番号を参照したい
13.3文献の参照箇所の体裁を変更したい(1)ーユーザー自身でカスタマイズする場合.
13.4文献の参照箇所の体裁を変更したい(2)citeパッケージを用いる場合
13.5参考文献リストの体裁を変更したい
13.6参考文献リストの途中に小見出しを入れたい
13.7参考文献リストを複数箇所に作成したい

14索引
14.1引を指定したい
14.2引そのものを作成したい
14.3索引項目を階層化したい
14.4索引でのページ番号の表記を変更したい
14.5引の体裁を変更したい(1)ETEXだけでできる処理
14.6引の体裁を変更したい(2)一引スタイルファイルの利用
14.7複数種類の索引を作りたい

15数式
15.1数式を書きたい
15.2上添字・下添字を書きたい
15.3分数を書きたい
15.4平方根・乗を書きたい
15.5数式用アクセントを使いたい記号を積み重ねたい
15.6関数名(sinなど)を記述したい
15.7関数名への添字の付き方を変更したい
15.8大きな話を書きたい
15.9長い矢印・可変長の矢印を書きたい
15.10数式中で書体を変更したい
15.11太字版の数式を書きたい
15.12さまざまな数式用フォントを用いたい
15.13和の記号や積分記号などを大きなサイズで出力したい
15.14行列を書きたい
15.15行列の中に特大の文字を割り込ませたい
15.16「場合わけ」を書きたい
15.17可換図式を描きたい
15.18ディスプレイ数式を書きたい(1)LTEX自身が提供する環境
15.19ディスプレイ数式を書きたい(2)Tamsmathパッケージが提供する環境
15.20ディスプレイ数式を書きたい(3)-ディスプレイ数式の部分構造を記述す
15.21数式番号の形式を変えたい
15.22数式番号に副番号を付けたい
15.23ディスプレイ数式を中断してテキストを書き込みたい
15.24数式本体と数式番号との間にリーダーを入れたい

16 beamerによるプレゼンテーション
16.1プレゼンテーションスライドを作成したい.
16.2 beamerを使ってみたい
16.3スライドの雰囲気を変えたい
16.4スライドの中身を徐々に表示したい
16.5「配布用プリント」専用の処理を入れたい
16.6動画を入れたい

付録Aテキスト用の記号
付録B各種の文フォント
付録C picture
付録D METAPOST
付録E文献データベースとBIBTEX
付録F mendex
付録G数式用の記号類

参考文献
Index

吉永 徹美 (著)
出版社: 翔泳社; 1版 (2018/8/24)、出典:出版社HP