文系のための データサイエンスがわかる本

データサイエンスに興味をもったら

文系理系問わず、データ分析についての基本を効率よく学ぶことができます。実際の現場でも役に立つような、実務に即した内容が多く述べられています。データサイエンティストとしての経験を積む上で必携の1冊でしょう。

高橋 威知郎 (著)
出版社: 総合法令出版 (2019/9/10)、出典:出版社HP

 

はじめに

「AIだ!」 「IoTだ!」 「ビッグデータだ!」

最近ビジネス界隈で聞く叫び声です。経営層や管理層などのエライ人になると、叫ぶ声も変わります。
「我が社はゲーム・チェンジャーになるぞ!」 「よし、デジタルトランスフォーメーションだ!」 「とりあえず、データビジネスで収益拡大だ!」
一体何が起こっているのでしょうか。

今、「第4次産業革命」が起こっている、起こりつつあるといわれています。第4次と呼ばれるぐらいですから、過去に3回起こったことになります。「工業革命」とも呼ばれた8世紀半ばからの「第1次産業革命」、トーマス・エジソンに代表される1 0年ごろまでの「第2次産業革命」、「デジタル革命」とも呼ばれたインターネットなどが中心的役割を演じた1990年代からの「第3次産業革命」です。そして、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ビッグデータなどによる「第4次産業革命」です。
具体的にどのような産業革命なのか、それはまだ誰も分かりません。なぜならば、今を生きている我々が、自ら創造していくものだからです。

「まずい! うちの会社、社長はAI化と叫んでいるけど、そもそも全然デジタル化されていない…」

十分なデジタル化への対応がなされていない企業や行政機関、組織は多いかもしれません。例えば、デジタル化すれば楽なのに、「発注書のフォーマットをプリントアウトし、必要事項を手で記入した後に、FAXで送信する」みたいな業務が、まだ残っている企業もあることでしょう。デジタル化への対応が不十分な中、次の産業革命の波が押し寄せるのですから大変です。

最近、不思議な職種の人財がにわかに注目を集めるようになりました。「データサイエンティスト」(「AI/機械学習エンジニア」含む)です。データサイエンティストに対し、多くの人は次のように思うかもしれません。

「自分には関係ない!」「勝手に頑張ってくれ!」「ヘンなのが湧いてきたな…」

周囲から見れば「数学に強い人が、コンピュータを使い、データをこねくりまわしている」、そんな感じでしょう。ときには魔法使いかのように期待されたり、ときには変人(ちょっと変わった人)のように敬遠されたりします。

少なくとも20年ぐらい前からこの職業はありました。呼び名は色々ありますが、データを分析したり、システムに組み込む数理モデル(現実世界で起きる諸問題を、コンピュータで効率よく回答を求めるため、方程式など数学的な形で表すもの。異常検知や予測モデル、最適化モデルなど)などを構築したり、そのためのアルゴリズムを研究・開発し、コンピュータプログラムで実装(新たな部品や機能を組み込み使えるようにすること)したりしています。

このようなデータサイエンティストが不足しています。なぜでしょうか。それは、「AIだ!」「IoTだ!」「ビッグデータだ!」と叫ばれるこの時代に必要不可欠だからです。第4次産業革命が本格化するにつれ、さらに必要になることでしょう。しかし、データサイエンティストだけでは、第4次産業革命の波を乗りこなし、高みを目指すには無理があります。「データサイエンスのビジネス実践で、重要なポイントがあります。それは、「データサイエンティストだけでは何もなしえない」ということです。今も昔も変わりません。一緒に物事を進める人が必要です。特別な人財ではなく、データサイエンスの理解がある普通のビジネスパーソンが必要なのです。「データサイエンティストだけでも、AIやIoT、ビッグデータなどに対し、何かしら取り組むことはできると思います。しかし、「我が社はゲーム・チェンジャーになるぞ!」「よし、デジタルトランスフォーメーションするぞ!」「とりあえず、データビジネスで収益拡大だ!」というところまで到達するのは至難の業です。

では、どうすればいいのでしょうか。技術力よりもチーム力です。チーム力と言っても、チームプレーではありません。スタンドプレーなチームワークです。例えば、以下のような人財が必要になります。

  • データサイエンティスト(AI/機械学習エンジニア含む)
  • データエンジニア
  • ドメインをつなぐ、データサイエンスを理解している「ビジネスパーソン」
  • 社内政治力のある、データサイエンスを理解している「ビジネスパーソン」
  • 社内IT専門家を仲介する、データサイエンスを理解している「ビジネスバーソン」

来たるAI時代、データサイエンスとは何なのかを理解し、一人のビジネスパーソンとしてデータサイエンスを活用できる人財が求められています。実は、データサイエンティスト以上に不足しているのは、このデータサイエンスを理解し、データサイエンティストと協働するビジネスパーソンなのです。

この書籍は、このようなビジネスパーソン向けに執筆しました。プロのデータサイエンティストではなく、普通のビジネスパーソンです。普通のビジネスパーソンが、ビジネスにおけるデータサイエンスとはどのようなものかを掴み、プロのデータサイエンティストとともに、データサイエンスを実践することで、ビジネスの成果などの素晴らしい何かを得ることができるでしょう。

少なくとも、単なるデジタル化をAI化といってしまうような愚やビジネスの成果を生まないデジタル化のための莫大なIT投資を避けることができることでしょう。
《Chapter 1〉では、なぜ今データサイエンスが必要なのか、そして、データサイエンスとは何で、データサイエンティストとは何者なのか、データサイエンティスト以外で必要なビジネスパーソンは誰か、などについて話します。《Chapter 2〉では、データサイエンスという武器を使うメリットや、その実現手段、データサイエンスで登場する数理モデルなどの話をします。数理モデルに深入りはしません。興味のある方は、専門書を読んでいただければと思います。《Chapter 1》と《Chapter 2》は概念的な話が中心ですが、《Chapter 3》は個別具体的な話になります。「小さく始め、大きく波及させよう!」というコンセプトの説明をした後に、小さく始めたデータサイエンスのプチ事例の紹介をします。《Chapter 4》は、未来の話になります。私は予言者ではないため、今すでに起こっていることをベースにしたものになっています。明るい未来とともに、気をつけるべき点にも、簡単に言及します。

なお、本文中に数理モデルなど聞き慣れない単語が出てきます。理解の妨げになる場合は、無理をして理解しようとせず読み飛ばしてください。気になる方は、別途調べてみて下さい。

イラスト 高橋威知郎
ブックデザイン 大口太郎
DTP・図表 横内俊彦
校正 黒田なおみ(桜クリエイト)

高橋 威知郎 (著)
出版社: 総合法令出版 (2019/9/10)、出典:出版社HP

CONTENTS

はじめに

Chapter 1 データを制する者がビジネスを制する
1-1 データが鍵を握る時代の到来
1-2 「データサイエンス」とはデータとビジネスを結ぶ栄光の架け橋
1-3 今注目の「データサイエンティスト」という職業
1-4 “最高の相棒”、データエンジニアとデータサイエンティスト
1-5 データサイエンス上、最低限必要な人財

Chapter 2 データサイエンスという武器
2-1 データサイエンスの効果・効能
2-2 データサイエンスを構想化する
2-3 データサイエンス駆動プロセス(PDCA×OODAxCRISPIDM)
PDCAサイクル
OODAループ
CRISPIDM
2-4 統計解析と機械学習、そしてAI
2-5 統計解析・機械学習モデルの選び方(チートシート)
量を予測するモデル
質を予測するモデル
異常を検知するモデル –
構造を理解するためのモデル –

Chapter 3 データサイエンスの始め方とそのプチ事例
3-1 データサイエンスは小さく始め、大きく波及させろ
3-2 小さく始めたデータサイエンスのプチ事例
事例1 「どのくらい訪問すればいいの?(既存顧客の訪問回数の閾値/離脱予測)
事例2 儲かりそうな見込み顧客は?(見込み顧客の受注率/受注金額/LTV予測)
事例3 この記入おかしくない?(顧客情報入力時の記入誤り検知/誤り箇所レコメンド)
事例4 どう設計すればいいの?(開発時の品質特性を最大化する最適設計)
事例5 良品を増やせる?(生産工程のチョコ停/ド力停予兆検知)
3-3 何度か「成果の大きさ」を見積もろう

Chapter 4 データサイエンスがつくる未来
4-1 データエコノミーな時代に必須なデータサイエンス
4-2 ぐれるAI、オタクになるAI
4-3 「読み・書き・そろばん」から「数理・データサイエンス・AI」へ
4-4 ときには、現場の人の業務を奪うことがあるかもしれない
4-5 求められているデータリテラシーのあるビジネスパーソン

おわりに

高橋 威知郎 (著)
出版社: 総合法令出版 (2019/9/10)、出典:出版社HP