体系的に学ぶデジタルカメラのしくみ 第4版

【最新 – 一眼レフを学ぶおすすめ本 – 入門、初心者にぴったり】も確認する

フォトマスター検定のデジカメ項目についての参考図書。

公式問題集では詳しく書かれていないことでも、図解でわかりやすく説明されていて、補足本として理解が深まる一冊です。デジタルカメラの機構や技術に焦点を当て、デジタルカメラに詳しくなりたい人のためのバイブルとして構成されています。デジタルカメラを初めて使う人も、写真愛好家にもお勧めできる一冊です。

神崎洋治 (著), 西井美鷹 (著)
日経BP; 第4版 (2017/12/8)、出典:出版社HP

はじめに

だれもが手軽に利用しているデジタルカメラですが、レンズ、撮像素子(CCDやCMOSセンサー)、手ぶれ補正、画像の規格など、性能の違いを知ろうと思うと、専門用語が多くてカタログや仕様表を読むのにも基礎知識が必要です。そんなデジタルカメラをより詳しく理解するためのしくみや機能解説に本書は主眼を置いて解説しています。
2004年に発行した初版に最新技術の解説を追加した第2版に続き、2013年の第3版から4年ぶりの改訂となりました。これからデジタルカメラを勉強する読者のための概要やカメラの構造、トレンド情報も追加しています。

本書内で詳しく触れていますが、デジタルカメラの市場規模は激減しています。大きな要因はコンパクトデジタルカメラ市場がスマートフオンのカメラ機能に押されていることです。FacebookやInstagramなど、SNSの普及で写真を撮ったり、友人に見せる機会は爆発的に増えていますが、その多くがスマートフォンでの撮影となっています。しかし、写真の品質にこだわる人も激増していると言えます。

第3版発売からのこの4年間で大きな変化と言えば、ミラーレスカメラの台頭と性能の向上でしょう。一眼レフと同様に、フルサイズや APS-Cの撮像素子(イメージセンサー)を搭載し、部分的には一眼レフを凌駕する性能を持つものもあります。また、高速連写や静音撮影などでは、一眼レフの特徴である反射ミラーの存在がデメリットに感じられることが多くなってきたとさえ言えるでしょう。

では、そもそも一眼レフとミラーレスの違いとはなんでしょうか?そのしくみや特徴の違いがわかると、ファインダーのしくみ 、オートフォーカス、連写、手ぶれ補正、ライブビューなど、購入時に役立つデジタルカメラ選びのポイントが見えてきます。

本書はカメラの専門書に読み進むための足がかりとして、基礎知識を網羅することを目指しました。レンズのしくみや撮像素子のしくみ、 その違い、記録メディア(媒体)や画像ファイル形式の違いなどにも触れています。これからデジタルカメラを始める方にとってはデジタルカメラの進化の歴史、カタログの読み方は機能や用語を理解するために役立つでしょう。そんな想いで書いた本書を勉強用やアーカイブ用としてどうぞ末長くお手元に置いてください。執筆にあたってご協力頂きましたメーカーの方々、制作にご尽力いただきました日経BP社や関係者の方々にこの場を借りて心より御礼申し上げます。

2017年10月
前書きとして 神崎洋治

神崎洋治 (著), 西井美鷹 (著)
日経BP; 第4版 (2017/12/8)、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1章 デジタルカメラの概要
1.1 デジタルカメラの概要としくみ
1.2 デジタルカメラの機能と性能(カメラ選びのポイント)
1.3 デジタルカメラとフィルム式カメラとの違い
1.4 デジタルカメラの歴史

第2章 一眼レフカメラとミラーレスカメラ
2.1 一眼レフカメラ
2.2 レンジファインダーカメラとコンパクトデジタルカメラ
2.3 ファインダーとパララックス
2.4 ファインダー視野率とファインダー倍率
2.5 ミラーレスカメラ
2.6 トランスルーセントミラーテクノロジー
2.7 高速連写技術の追求
2.8 ミラーレスは静音撮影に優れる

第3章 レンズ
3.1 交換レンズ
3.2 写真のしくみとレンズ
3.3 収差
3.4 収差をなくす工夫
3.5 F値(Fナンバー)
3.6 焦点距離と画角
3.7 レンズの分類
3.8 レンズの種類
3.9 オートフォーカス/パンフォーカス
3.10 コンバージョンレンズ/オプションレンズ
3.11 フィルター
3.12 レンズ交換式カメラとレンズマウント
3.13 デジタルカメラ用カメラレンズ
3.14 ミラーレスとフランジバック

第4章 撮像素子/イメージセンサー
4.1 撮像素子(イメージセンサー)とは
4.2 画質を大きく左右する撮像素子の画素数とサイズ
4.3 CCD 4.4 CMOS
4.5 原色フィルターと補色フィルター
4.6 スーパーCCDハニカム
4.7 LiveMOS(v Maicovicon)
4.8 FOVEON
4.9 裏面照射素子(裏面照射型CMOSセンサー)
4.10 メモリー内蔵積層型CMOSセンサー
4.11 光学ローパスフィルターレス
4.12 撮像素子と交換レンズの焦点距離~35mmフィルム換算~
4.13 フォーサーズシステム規格

第5章 デジカメを支える機構・技術
5.1 画像エンジン
5.2 ISO感度とノイズ
5.3 手ぶれ補正
5.4 ホコリ除去
5.5 ライブビュー
5.6 デジタル一眼レフの動画撮影
5.7 シャッター
5.8 デジタルズーム
5.9 顔検出とスマイルシャッター

第6章 画像と記録メディア
6.1 デジタル画像の基礎知識
6.2 画像フォーマット
6.3 記録メディア

神崎洋治 (著), 西井美鷹 (著)
日経BP; 第4版 (2017/12/8)、出典:出版社HP

第1章

デジタルカメラの概要
出会った光景をきれいな写真で残す…写真撮影はとても魅力的な世界ですね。
デジタルカメラは様々な特徴を持ったたくさんの機種が店頭に並んでいますが、それらの長所・短所をカタログや仕様表から読み取れるようになったらもっと楽しくなるとともに、撮影技術の向上にも役立つはずです。
本章では、デジタルカメラの楽しさを満喫するために、まずは最も基本的なしくみや概要、デジタルカメラの歴史などを解説します。本書内の詳しい説明箇所を知るためのガイドにもなっています。

1.1 デジタルカメラの概要としくみ

デジタルカメラの各部の名称と働き
デジタルカメラはどのような構造で成り立っていて、どのようにして写真撮影をすることができるのでしょうか? そのしくみを理解するために、レンズ交換式カメラを例に基本的なしくみと構造を見ていきましょう。レンズ交換式カメラには「デジタル一眼レフカメラ」と「ミラーレスカメラ」があります。まずは一眼レフカメラの基本的な構造を紹介します。デジタル一眼レフカメラは、カメラ本体とレンズ本体で構成されています。カメラ本体とレンズの接合部はレンズマウントと呼ばれ、この形状や仕様が共通のものであればそれぞれを組み合わせて使用することができます。

【一眼レフカメラの例】 キヤノン「EOS 5D Mark IV」
【交換式カメラの本体とレンズ】
デジタル一眼レフカメラは、カメラ本体とレンズで構成されています
(横から見たイラスト)。レンズは脱着して交換することができます。
カメラ本体とレンズを接続する部分をレンズマウントと呼びます。

【ミラーレスカメラの例】 ソニー「a 6000」
【レンズの脱着】 レンズ交換式カメラでは、レンズマウントの仕様が合っているレンズなら脱着して交換することができます。写真はキヤノンEFマウント。

カメラボディ内部の主な部品と働き
デジタル一眼レフカメラの構造上の最大の特徴は、本体内部にレフレックスミラーとペンタプリズムがあることです。これはカメラ本体背面の光学ファインダーから覗いたときに、レンズの像を見るために必要な構造です。


【デジタル一眼レフカメラのしくみ】
※AFセンサーの位置や形状は機種によって異なります。
※プロ用機種の場合、内蔵ストロボは装備されていない製品もあります。
レンズから入った光の像は撮像素子(イメージセンサー)に当たることで写真として記録されます。そのため、レンズから入った光は撮像素子に当たるように設計されていますが、写真として記録する時以外は、レフレックスミラーとペンタプリズムによって光路を曲げてファインダーに届けられています。この構造によって、撮影者が撮る前にファインダーを覗いて写真に写る像と同じものを確認することができるのです。
この構造はフィルム時代の一眼レフカメラからあったしくみで、「一眼」は撮影する像そのものが見えることから、「レフ」はレフレックスミラー(反射ミラー)からきています。

【デジタル一眼レフカメラの光路 撮影前】
レンズの像はレフレックスミラー、ペンタプリズムを通してファインダーに見えています。写真に写る像と同じものを前もってファインダーで確認するためのデジタル一眼レフカメラ独特のしくみです。


【デジタル一眼レフカメラの光路 撮影時】
シャッターボタンを押すと、レフレックスミラーが跳ね上がり、レンズの像は撮像素子に届けられます。撮像素子はその像を受けて画像処理エンジンに送り、写真として画像に変換、記録されます。

レフレックスミラー
デジタル一眼レフカメラの本体のみの状態で、レンズマウント部から中を覗き込むとレフレックスミラーが見えます。撮影時以外はレフレックスミラーが本体上部にあるペンタプリズムに向けて光を反射させています。撮影時にはこのレフレックスミラーが跳ね上がり、レフレックスミラーの後ろにあるシャッター、撮像素子へと光を通します。
レフレックスミラーが跳ね上がるときに、バシャバシャという機械音とともにわずかな振動(ミラーショック)が発生すると言われています。
なお、レフレックスミラーを含む一帯やパーツをミラーボックスと呼ぶこともあります。


【デジタル一眼レフのレフレックスミラー】
キヤノン「EOS-1D X Mark II」本体の写真。レンズをはずした状態で本体内部を見るとレフレックスミラーが見えます。撮像素子(イメージセンサー)はミラーの向こう側にあって通常は見えません。
【デジタル一眼レフの撮像素子】
同じキヤノン「EOS-1D X Mark II」本体、レフレックスミラーが上がった状態の写真。イメージセンサー(撮像素子)が見えます。本体内部では撮影時にはこのようにミラーが上がって、レンズ側から撮像素子に光が届く状態になります。なお、この写真の状態はイメージセンサーなどのメンテナンスを行う際に用いられ、「ミラーアップ」と呼ばれます。

ペンタプリズム
ペンタプリズム(ペンタゴナルダハプリズム)は、カメラ本体上部に設置された部品で7面もしくは8面体のプリズムです。レフレックスミラーからの光を屈折反射させ、光学ファインダーに像を導きます。その際、上下左右逆転している倒立像を反転させる役割もあります。

【ペンタブリズム】
精度の高い生産技術が要求されるペンタプリズム。
エントリー機種ではペンタダハミラーがしばしば代用されます。
資料提供:キヤノン
ペンタプリズムは精度の高い加工技術が要求される部品のため、生産コストがかかります。入門用に位置づけられている一眼レフ機種にはペンタプリズムのかわりにペンタミラー(ペンタダハミラー)を用いている製品もあります。これらの性能はファインダー視野率や明るさ、見やすさなどに影響します。

■キヤノンEOSシリーズの例

メカニカルシャッター
メカニカルシャッターは光を遮断する幕の役割を持ち、撮影時に通常は一瞬だけ開いて撮像素子に光を当てます。この時間がシャッタースピードや露出時間(露光時間)と呼ばれるもので、撮影によっては長い時間シャッターを開けて撮る長時間露光という撮影方法もあります。このように機械的に光を遮ったり、光を通す機構をメカニカルシャッターと呼びます。デジタルカメラではそのほかに電子シャッターという方式も用いられます(詳しくは「5.7 シャッター」の項で解説します)。


【メカニカルシャッターユニット】
EOS 5Dsのフォーカルプレーンシャッターです。
ロータリーマグネット式の縦走りフォーカルプレーンシャッターで、15万回の作動テストをクリアした、高耐久設計 です。
資料提供:キヤノン
なお、設定可能な最も速いシャッタースピードの数値はカメラ機種によって異なります。デジタル一眼レフカメラの場合は概ね、最速値の設定は1/8000ですが、入門機等では1/4000の製品もあります。

撮像素子(イメージセンサー)
写真の画質を決める最も重要な部品の1つが撮像素子です。カタログの数値から写真の画質の善し悪しを判断することはできませんが、撮像素子の性能を測る(想定する)ための数値として、撮像素子のサイズ(大きさ)、解像度、画素ピッチが注目され、いずれの数値も高い (大きい)ほど高画質性能を持つとされています。詳しくは「第4章 撮像素子/イメージセンサー」で解説します。


【イメージセンサー(撮像素子)】
イメージセンサーの大きさと有効画素数が画質に大きく影響します。
写真は EOS 5D Mark IV、一般のデジタル一眼レフとしては最も大きい35mmフルサイズの約3040 万画素CMOSイメージセンサーです。
資料提供:キヤノン

■ニコン製シリーズの例

※ニコンではフルサイズ相当をFXフォーマット、APS-C相当のサイズをDXフォーマットと呼んでいます。
※画素ピッチはカタログなどの仕様表に掲載されていない場合もあり、その場合は、撮像素子の横幅÷記録画素数の横ピクセルで求めて比較してみましょう(「D5」の場合は、記録画素数が「5568× 3712ピクセル (サイズL)」なので35.9 – 5568)。
前記の5機種を例にして、カタログから画質性能を推測してみましょう。撮像素子のサイズではD5、D850、D810が大きいフルサイズを使用しています。これは画質には大きなアドバンテージです。3機種の中で解像度の数値が大きいのはD850です。D810がそれに続いています。この2機種の違いは画素ピッチにも現れています。同じサイズの撮像素子でもD850は多くの画素がギュウギュウ詰めに配置されていることになります。D810と比べると画素ピッチの数値が少ないのでわかります。
ニコンのプロ用のフラッグシップは「D5」です。D5の数値はD850と比較して画素数が少なく、画素ピッチも大きくなっています。どの機種の画質が良いか、最終的には実際の写真を見比べて確認しないとわかりませんが、高画素化による精細な画質(利点)を確認するとともに、高画素化に伴って画素ピッチの数値の小ささによる悪影響が現れていないかのチェックが必要、そのような見方ができるわけです。
また、撮像素子の他に、画像処理エンジンが画質の善し悪しを左右すると言われています。撮像素子が受光して変換した画像情報は画像エンジンが写真として処理する、いわゆるソフトウェアの性能が大きく関わります。この性能は仕様表から測ることはできません。なお、画質の善し悪しといっても、解像感やコントラスト、色合いや色表現、ダイナミックレンジ、暗所での描写等、評価すべき項目はたくさんあるため、最終的には、重視したい撮影シーンなどを想定した実写サンプル等を見て判断することが最良と言わざるをえません。


【画像処理エンジン】
撮像素子で受光した画像情報は、画像処理エンジンに送られて処理されます。処理エンジンの性能が写真の品質に大きく関わります。写真はEOS 5D Mark IVの画像処理エンジン、DiGiC 6+とその基盤 ユニットです。新しいノイズ低減処理アルゴリズムを採用し、静止画の常用ISO感度は最高32000を実現するなど、処理エンジンの性能はノイズやISO感度等にも関連しています。
資料提供:キヤノン

液晶モニター
デジタルカメラの最大の利点の1つは、撮った写真を液晶モニターに写してその場で確認できることです。その際、液晶モニターは大きくて解像度が高い画面の方が、写真の細部まで確認しやすく便利です。ただし、モニター画面が大きいということはカメラ本体も大きいでしょうし、バッテリ消費量も高い可能性があるので確認したいポイントです。

レンズの種別や各部名称と働き
一眼レフのようなレンズ交換型カメラの場合、目的に合わせてレンズを交換して撮影することができます。通常、スナップ撮影など一般によく利用される「標準レンズ」、風景写真など幅広い範囲を撮影するのに適した「広角レンズ」、野鳥やスポーツ、ポートレイトなど遠くの被写体を大きく写す「望遠レンズ」に大別されます。
カメラの購入時に、カメラ本体の性能はカタログなどを見比べて研究するものの、レンズにはあまりこだわない初級者が多いようですが、レンズ性能によってシャッター速度や絞り値にも違いが現れて、オートフォーカスの速さや正確さ、最近では静かさ(動画撮影には重要)、 手ブレ補正(機種による)、ズーム域など、利便性と写真の出来映えに関わる要素はレンズによるところも多いのです。

xxmmのレンズ
ヒトの目で見える範囲を視野角と呼びますが、カメラではこれを「画角」と呼びます。望遠レンズは遠くの被写体を大きく写すのに使いますが、望遠ほど画角は狭く(小さく)なります。逆に風景をワイドに写すのに適した広角レンズほど視野角は広く(大きく)なります。画角 は「焦点距離」と密接に関わるため、レンズでは対応する焦点距離の数値を「mm」で表し、どんなレンズかがわかるようにしています。


【一眼レフ用の望遠レンズ】
80-200mmの望遠ズームレンズです。望遠レンズ は遠くの被写体を大きく写すのに適しています。
ヒトの目で見える範囲を基準とした標準レンズは50mm前後のものを指します。それよりも数値の少ない(たとえば40mm以下)ものは広角レンズやワイドレンズと呼び、それより数値の大きいもの(特に概ね80mm以上)を望遠レンズと呼びます。ただし、これらの呼び方は「xxmm以下は広角」といったような明確な区分けがあるわけではありません。時代とともに各焦点距離での区切りも変わってきました (詳しくは「第3章 レンズ」で解説します)。

ズームと単焦点
焦点距離を変えられるズーム機構のあるものを「ズームレンズ」と呼び、ズーム機構のないものを「単焦点レンズ」と呼びます。一般的にはカメラを構えた位置はそのままでズーム機能を使って被写体の大きさ(構図)を変えられるため、ズームレンズはとても便利です。市販されているコンパクトデジタルカメラではズーム機能が付いている機種がほとんどなので、デジタル一眼レフの勉強をし始めたばかりの人には ズーム機能がないレンズがあるなんて・・と意外に思うかもしれません。便利なズームレンズにも欠点はあります。まず、ズーム機構のぶん、単焦点レンズに比べてレンズ全体のサイズが大きく重くなりがちです。また、機構が複雑になるため、明るく高性能なレンズ製品を開発するのは難しく、生産するにもコスト高になります。そのため、ズームレンズでありながらF2.8などの明るい製品の価格は比較的高額に設定されています。単焦点レンズは機構がシンプルなぶん、明るいレンズ が多いのです。撮影時の利便性ならズームレンズ、持ち運びや明るさなら単焦点レンズと言えるでしょう。ズームレンズはズーム機構によって焦点距離を変えられるため、レンズ製品にも数字の範囲で示されます。たとえば製品名に「80-200 mm」と入っていれば「焦点距離がワイド側で80mm、望遠側で200mmまでズーム機能で寄れるレンズ」だということがわかります。


【高倍率ズームレンズ】
タムロンの「18-400mm F/3.5-6.3」(Model B028)。APS-Cサイズ用として世界で初めて22.2倍を達成した超望遠高倍率ズームレンズです。
なお、広角レンズの画角から望遠レンズの画角までカバーする幅広いズーム域が使用できるレンズを「高倍率ズーム」と呼びます。高倍率ズームには1本で「18mm~400mm」をカバーするレンズ製品なども市販されています。たとえば、広角写真用のレンズと望遠写真用のレンズなど複数本のレンズを持ち歩くのが大変だと感じるときは、高倍率ズームレンズなら1本で済むので便利です。

レンズマウント
カメラ本体とレンズを接続する部分、その構造がレンズマウントです。一眼レフカメラでは、キヤノンの「EF」マウント、ニコンの「F」、ソニーの「A」(ミノルタ/コニカミノルタ a)と「E」、ペンタックスの「KAF2」、「フォーサーズ」マウントなどが知られています。
ユーザーが好みのレンズを購入して脱着するレンズ交換式カメラにおいては、カメラ本体とレンズの互換性を確保する必要があるため、カメラ本体のメーカーは機種ごとに仕様表でマウントを示すことによって同社のオプションレンズ群の中からユーザーが選択できるようにしています。レンズマウントの仕様が共通であれば、フィルム式カメラで使用していたレンズを最新のデジタルカメラに装着することもできます。
なお、いわゆるサードパーティと呼ばれるレンズ専用メーカー各社からも、さまざまなレンズマウント用に互換性のあるレンズ製品が販売されています。これらの製品はレンズメーカーが動作保証を行っていますので、レンズメーカーのホームページやカタログ等で使用中のカメラ本体が対応しているかどうかを確認します。

1.2 デジタルカメラの機能と性能(カメラ選びのポイント)

デジタル一眼レフとミラーレス
日本では、2002年にデジタルカメラの販売台数がフィルム式カメラの台数を上回りました。日本のデジタルカメラの普及は、欧米諸国に比べても早く、急速に拡大したのです。
しかし近年は驚くほど厳しい状況が続いています。一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)の発表によると、デジタルカメラ全体の出荷台数は2010年から縮小傾向にあり、この5年間では激減しています。統計は一眼レフやミラーレスカメラを含む「レンズ交換式」とコンバクトカメラ等「レンズ一体型」に分類されています。全体の割合としては大半を占めていたレンズ一体型の落ち込みが目立ちます。コンパクトデジタルカメラ市場の落ち込みは、市場が飽和状態にあることに加えて、スマートフォンの普及に押されていることが原因です。観光地などでスナップ写真を撮る様子を見ても、スマートフォンで撮影している人が圧倒的に多いのがわかります。
厳しい状況の中にあって、レンズ交換式カメラは家族の旅行やイベントの写真は高画質で撮って残したいと考える人や、比較的年齢の高いユーザー層や女性を中心に高画質な写真撮影を趣味として楽しみたいという人たちが増えていることで、出荷台数が2009年以降、一時回復の見込みを見せたのですが、近年は再び降下しています。これには自然災害による影響もあります。東日本大震災や熊本地震により、製造関連、流通、販売等に大きな影響を受けました。

デジタルカメラの国内外の総出荷台数

※ノンレフレックスにはいわゆる「ミラーレス」「コンパクトシステムカメラ」、レンズ交換式のレンジファインダーカメラ、カメラユニット交換式等を計上。

デジタルカメラの国内の総出荷台数

現在、「ミラーレスカメラ」という分野に明確な定義はありません。一般に市販されているモデルのレンズ交換式では、デジタル一眼レフとレフレックスミラーのない(一眼レフではない)カメラを分類していますのでミラーレスだけの数値はわかりません 。
近年のレンズ交換式デジタルカメラ統計を見ると、ミラーレスカメラの台頭もあって一眼レフの割合は少なくなっています。国内だけを見ると、2016年のデジタルカメラ総出荷台数は352万台、レンズ交換式は約128.3万台、うち一眼レフは80.6万台の62.8%、ノンフレックスは47.6万台強の37.1%となっています。
ちなみに正確には、CIPAでは一眼レフが中心の「レンズ交換式」という区分に対して「ノンフレックス」で集計しており、ノンフレックスにはミラーレスカメラ、コンパクトシステムカメラ、レンズ交換式のレンジファインダーカメラ、カメラユニット交換式等が含まれています(レンズ一体型は含みません)。
ミラーレス機がコンパクトデジタルカメラと一線を画し、注目された背景には、レンズ交換式であるとともに比較的大きなサイズの撮像素子を採用していたことにあります。たとえば、マイクロフォーサーズ規格の場合は4/3型、ソニーの a 6500、ペンタックスK-01、FUJIFILM X-Prol等ではAPS-Cサイズ、ソニーa9、a7シリーズでは35mmフルサイズといったように、一眼レフにも用いられているサイズが採用されています。そのため、ボディは小型でも、画質は一眼レフ並み、と言ったような売り文句が店頭などでも多く見られました。しかし、ペンタックスのペンタックスQ (1/2.3型)やニコンのNikon 1シリーズ (1インチ型)のように一眼レフより小さい撮像素子を採用した機種も登場し、必ずしもミラーレス機だから撮像素子が大きい、という認識は当てはまらなくなっています。また、ミラーレスという分類自体も曖昧な点があります。たとえば、ニコンではNikon 1をミラーレスとは呼ばず、「レンズ交換式アドバンストカメラ」と呼称しています。

コラム:ミラーレスカメラは「一眼」か?
カメラ機種をカテゴリ分けする際に、雑誌やホームページでしばしば「ミラーレス一眼」と呼称しているのを見ます。ミラーレスは一眼レフと同様に「一眼」なのでしょうか?

神崎洋治 (著), 西井美鷹 (著)
日経BP; 第4版 (2017/12/8)、出典:出版社HP