Amazon Web Services 定番業務システム14パターン 設計ガイド

パターン別で理解を深める

定番ともいえる14パターンの業務システムに合うAWSのサービスの組み合わせ方がわかります。AWSの概要、様々な用途を知ることができます。パターン別に分かりやすく要点がまとまっているので、AWSの特性を理解しやすいです。

川上 明久 (著)
出版社: 日経BP (2018/9/28)、出典:出版社HP

はじめに

Amazon Web Services (AWS)の急速な浸透は目覚ましいものがあります。サービスの登場当初は、スタートアップ企業が使うか、大企業が周辺システムでお試し的に使うかでした。しかしここ数年、クラウドを前提としてシステム構築する企業が現れ、基幹システムをクラウドに移行する動きも出てきました。

複雑なシステムが構築されるにつれ、筆者が所属する会社に舞い込むトラブル解決の相談が増えてきました。トラブルの原因として共通するのは、AWSの特性をあまり理解せずにシステムを設計していることです。EC2、S3といった個々のサービスの機能については、書籍やネットの記事の充実でよく知られるようになりました。しかし、サービスをどう組み合わせてシステムを設計すべきかというノウハウ、知見は十分に浸透しているとは言えません。

本書は、AWSを使って業務システムを設計する際の最良のガイドとなることを目指し、AWSのサービスを組み合わせ、特定の要求を満たすシステムを作るための「設計パターン」を解説しています。AWSのサービスをシステムの中でどのように使い、機能させるかという視点を重視し、サービス個々の詳細なパラメーター、設定手順は思い切って割愛しました。個々のサービスの細かい設定方法はネットや既存の書籍を参考にしていただければと思います。

もう一つ力を入れたのが、AWSを活用することで、新規事業を素早く立ち上げたい、サービスをスモールスタートさせたいといった今日的なビジネス課題に解決策を示すことです。本書の後半はビジネス上の課題を抱える架空の企業事例を基に、AWSを使ったシステムの構築で問題解決するというストーリーを展開しています。その解決策となるシステム構築についても、設計パターンを解説しています。

以下、各章で読者の皆様にお伝えしたいことを簡単にまとめます。

1章 Webシステム
業務システムで最もよく利用される、Web、アプリケーション、データベースの3層から成るシステムを、AWSでどのように設計するかを説明します。この章の前半では入門的な内容を、後半では性能や可用性の要件が厳しい場合の設計パターンを解説しています。AWSでシステムを設計するエンジニアであれば、頭に入れておきたい内容です。

2章 ストレージシステム
バックアップ、ファイルサーバーの目的別設計パターンを解説しています。AWSでバックアップやファイルサーバーを設計する際の参考になればと思います。

3章 データ分析システム
この章からは、ビジネス上の課題を抱えた架空の企業が、解決のためにAWSでシステムを構築するというストーリーの中で設計パターンを解説します。新規事業でAWSをどのような用途に利用できるのか、問題解決の参考になれば幸いです。

4章 アプリケーションの高速開発
この章はアプリケーション開発に関わるエンジニアに向けて書いています。AWSには、クラウドだからできる高速開発の手法があります。AWSで開発生産性を上げるための開発環境の設計パターンを紹介します。

5章 クラウドネイティブ
クラウドを使う恩恵を最大限に受けるには、オンプレミスにはない、AWS独自のサービスを使ったクラウドネイティブなシステムアーキテクチャーにすることが近道です。アーキテクト、アプリケーション設計エンジニアが知っておくべき設計パターンを紹介します。

6章 ハイブリッドクラウド
多くの企業で、クラウドもオンプレミスも、両方使われ続けることが予想されます。クラウドの利用に伴って課題となる、オンプレミスとの連携パターンを知ることは、システム設計に携わるすべてのエンジニアにとって必須の知識となります。

本書は日経SYSTEMSの連載をまとめた書籍「Amazon Web Services 定番業務システム12
パターン設計ガイド」を基に、大幅に内容を追加、見直ししたものです。AWSの最新サービスに対応するとともに、マイクロサービスやAI/IoTの解説を追加しました。

日経SYSTEMS編集部、編集を担当いただいた森重和春様、白井良様には深く感謝します。毎回的確な助言と分かりやすい文章に編集していただいたおかげで、書籍としてまとめることができました。

本書の内容は、これまで一緒に仕事をさせていただいた方々や、関わったシステムから多くのヒントをもらったことで、書き上げることができました。良い経験をさせていただいたビジネスパートナー、同僚のみなさんのおかげです。

最後に、長い執筆を続けることができたのは、家族の理解と協力があったからです。支えて
くれている妻の直子に感謝します。

2018年9月
川上明久

川上 明久 (著)
出版社: 日経BP (2018/9/28)、出典:出版社HP

本書の記述は筆者の個人的な見解に基づいており、Amazon Web Services, Inc.、アマゾンウェブサービスジャパン株式会社とは一切関係がありません。
本書に記載してある会社名および製品名は各社の商標および登録名です。
また、本書では、©️、®︎、TMなどは省略しています。
本書の内容は2018年8月の執筆時点のものです。

目次

[基本編]

1章 Webシステム
1-1 [パターン1]キャンペーンサイト
1-2 [パターン2]コーポレートサイト
1-3 [パターン3]性能重視のイントラWeb
1-4 [パターン4]可用性重視のイントラWeb

2章 ストレージシステム
2-1 [パターン5]バックアップ
2-2 [パターン6]ファイルサーバー

3章 データ分析システム
3-1 [パターン7]構造化データの分析
3-2 [パターン8]非構造化データの分析
3-3 [パターン9]AIとIoT

[応用編]

4章 アプリケーションの高速開発
4-1 [パターン10]サーバーアプリの高速開発
4-2 [パターン11]モバイルアプリの高速開発
5章 クラウドネイティブ
5-1 [パターン12]サーバーレスのインフラ
5-2 [パターン13]マイクロサービスの運用基盤
6章 ハイブリッドクラウド
6-1 [パターン12]オンプレミス環境との連携

日経SYSTEMSの主要書籍

本書は、「Amazon Web Services 定番業務システム12パターン設計ガイド」(2016年6月21日発行)を基に、3章3-3、5章5-2を追加し、全体を通して加筆・修正・再構成したものです。同書は日経SYSTEMSの2015年4月号~2015年9月号に掲載した連載記事「実践AWS!企業クラウドの設計パターン」、および2015年10月号~2016年3月号に掲載した連載記事「クラウドだからできる新システムとその設計法」を基に、大幅に加筆・修正してまとめたものです。